時計の革のベルトの選び方
ABUNDANT TIME 代表 壽藤
当店の姉妹店「きよみのアンティーク」はレディース・アンティーク専門店ですので
10割近くのお客様が女性です。
取り扱う時計の50年代〜ケースデザインは非常に華やかで、金無垢のダイヤモンド
ウォッチがメインになります。現行のリバイバルモデルでは決して真似出来ないデザ
インです。
ケースが無垢なので、これらに合わせるベルトも無垢、ダイヤモンド、メタルなどの
ブレスが良く似合います。
ラグのデザインによっては革のベルトもお勧めしております。
ラグジュアリーなデザインのケースには、ダーク、ダル、ビビット、ペール、グレイッシュ。
どのような色の革ベルトを合わせても、クラシック、アーバン、シックに。
総じてグレースフル(上品に)にまとまりますので、どれをお選び頂いても大正解に
なります。
一方。
メンズ時計のベルト選び。
なかなか難しいのではないかと思われます。
ベルトをアクセントとして選ばない
随分と前になりますが、ファッションとして“ハズしアイテム”なるものが流行りました。
スーツなのに“G-SHOCK”
スーツに“真白の靴下”
スーツの下に“全くアイロン掛けないシャツ”
映画「太陽がいっぱい」のフィリップのように“素肌にスウェードのシャツ”
最後は少し違いますが、それがカッコ良いのだと。私も一所懸命にやっておりました。
今考えると“ハズし”ていることによって主張が強くなって、寧ろ目に付いてしまっていたの
だろうと思います。
きっと、多くの方にお気を使わせていたことでしょう。
こうした失敗も踏まえながら、未だ時計業界におりますので
僭越ながらベルトの選び方をご案内させていただきます。
時計のベルトをファッションにメリハリをつけるアクセントとして選ばない
これだけで、グッと男性の革ベルト選びのターゲットを絞れます。
コンサバのオススメ
横浜ではあまりいらっしゃいませんが、稀に目に飛び込んでくるような
ブルーやイエローの革ベルトされている男性をお見掛けします。
クリエイティブなお仕事をされている方なのか、もしくはご自分のスタイ
ルをお持ちの方なのだろうなぁと。
そういうスタイルに少しだけ「羨ましいなぁ」と憧れる気持ちもあります
が、私がイエローベルトをしていたら「何かあったんですか??」
きっと終日、スタッフや知人に問い詰められると思います。
私もそうですが、多くの方がこのタイプでは無い。
という前提で進めさせていただきます。
横浜・関内は中高年の男性が圧倒的に多く、ほとんどの方がスーツをご着用
されています。やはりスーツやジャケットに合わせることを前提にセレクト
されるのが良いかと存じます。
そして、ベルトを単体。ベルトを主体としてセレクトするのでは無く、
トータル的なバランスを考慮したお色をお選び下さい。
保守的で控えめなコンサバ〜
トレンドに左右されないベーシックなカラーがおすすめです。
男性はある程度の年齢になったら、統一感のある落ち着いている感じの方
がスッキリしてお洒落です。
ブラック系のスーツなのに茶のベルト。茶のグローブ。茶の靴。
これらが合わないとのと同じように時計のベルトも同様です。
ウエストのベルトの色と靴の色を合わせるように、腕時計のベルトも合わせる方がよりスマートです。
スーツがブラック系なら黒かネイビーを
スーツがブラウン系ならブラウンを
スーツがグレー系の場合は黒でも茶でもどちらでもOKです。
出来ればバッグの色も合わせたいところです。
大人の男性としてはバッグも黒と茶の2つは持っておきたいところですね。
迷彩はダメです。
素材で選ぶ
とは言っても、折角のお買い物ですからあまり控えめにセレクトするのも
楽しくありませんよね。
出過ぎず抑え過ぎず、で難しいところではございますがご安心下さい。
革ベルトはカラーバリエーションより
素材のバリエーションの方が断然多いのです。
したがって、色よりもどの素材にしようかで迷われる事になるでしょう。
色の違いより素材の違いでセレクトされることをお勧め致します。
コンサバ・カラーで主張を押さえられたかと存じます。
しかしその結果、思い切った素材選びが可能になるのです。
オーストリッチ(ダチョウ)やガルーシャ(エイ)のベルトだってOKです。
私は店頭に立つことが多くなり、ブラック系のスーツを着ておりますのでベルトも黒にしております。
お気に入りの「テジュ」はリザードの中でもクラシック感が高く落ち着いた雰囲気です。
柔らかく、厚みも抑えられているので装着感がとても良い革ベルトです。
夏場には黒のナイロン製NATOストラップに付け替えております。
そして、尾錠の色もケースに合わせています。
同じブラックでも素材違いで印象がガラッと変わりますよね。
尾鍵は時計ケースと同色に
個人的にゴールドケースが好きなので、尾錠もケースに合わせ金色にしております。
ケースと尾錠のバランスも非常に大切です。
当店の取り扱い品ではベルトによって金色の尾錠が無いタイプもございますが、革ベルト単体で
ご用意が無い場合は“Dバックル”もございます。別途ご用命ください。
時計の2/3以上はベルト
「きよみのアンティーク」のオーナーが昔から力説しておりますが、
“時計の2/3はブレスです”
本当にその通りでございます。革ベルトならそれ以上です。
外を歩いていても、自他共に目に触れる部分はケースよりも圧倒的にベルトの方なのです。
お気に入りの服などを頻繁に着回しする事を「フルロテ」などと呼びますが、
時計ベルトは圧倒的フルロテ・アイテムです。ファッション要素の1つとして、革ベルトは
もっと注目・取り入れられても良いアイテムだと考えます。
超おすすめのクリッカー加工
ベルトの本数が増えると、時計店に持ち込んで交換するのも少し手間ですよね。
しかし、まだまだ多くの方が自分で気軽にベルトを交換出来ることをご存知ないのか
とお見受けします。
お手持ちの革ベルトでもクリッカー加工することにより、
お出かけ前でも気軽にベルトの交換が出来ます。本当に楽なんです。
もしも、全ての革ベルトがこのクリッカー仕様になったら、どんなに時計師は楽になるかと。
そして革ベルトの交換が楽になると、付け替える機会が大変多くなります。
以前の私はベルト交換するタイミングとしてベルトに飽きるまでか。劣化するまで。
または千切れるまで交換することはございませんでした。
クリッカーが登場してからはシーンやシーズンごとに交換しております。
当店では▼クリッカー加工 3,300円(税込価格)でお承りしております。
まとめ
1.スーツやジャケットの着用を前提に選ぶ
2.色を選ぶ ベーシックで控え目なコンサバ(ベルト、靴、時計ベルトは同系色)
3.素材を選ぶ
4.尾錠の色をケースに合わせる
プラス、クリッカー加工して気軽に付け替えることが出来れば更に素敵です。