コンビカラーとは?そのイメージは?
ABUNDANT TIME 代表 壽藤
「ブレスのコンビ・カラーは地味なので、イエローゴールドはありませんか?」
とお問合せがございました。姉妹店きよみのアンティークでは、お客様のご要望・ご予算に応じて
ケースに合うブレスをお選びいただけます。メーカーでもありますのでダイヤモンドブレスやテニ
スブレスなど金無垢ベースのブレスオーダーが可能です。
コンビカラーのブレスに付け替えた時計をご案内すると必ず
「うわー❤️一段とゴージャスになりますね」
とコメントをいただきます。
よって、コンビカラーは華やかであると考えており、今までお客様には「コンビカラーは華やかで
すよ。」とお伝えしておりました。
メールでのお問合せなので分かりませんが、憶測するにお若い方なのかも知れません。
きっと コンビカラー → ダサい → 地味 なのだと思います。
世代感覚の違いなのでしょうか。
コンビカラーと言えば、カルティエのサントスなどが思い浮かびますが、中でも最も代表的な
モデルはやはりロレックスのデイトジャストでしょう。
どちらも定番モデルで現在でも大人気です。デイトナだってコンビカラーです。
コンビカラーだと、横断歩道の向正面で信号待ちをしている方の腕にはロレックスを着けてい
ることが判るほどです。個人的には非常に目立つと思うのですが…。
センスの違いを解明する
この感覚の違いはどこから来るのか?
理解するのに何か良い方法はないかと、手元に有る現行モデルとアンティークのコンビカラー
モデルをじっくりと観察してみました。
ロレックスオフィシャルではブレスとクラスプに関して、装着感を試行錯誤した結果、人間
工学を十分に研究し、その堅牢性と信頼性、デザインと光沢のすべてが時計の個性を作り上
げている。と謳っております。ラグとブレスを連結しているフラッシュ・フィットだって統
一感があって本当に素晴らしいと思います。
思いますが、
どうしたものか、コンビカラーになってもラギット強め・無骨な感じは否めません。
ボン、ボンと、はいココ金色。ここは銀色ねと。
やはりデザインではないでしょうか?
デザインがシンプルであるからこそ、コンビカラーになるとギラギラ感が際立ってしまう。
それが返ってダサダサ感を派生させてしまっているのでは?と考えます。
お問合せございました内容が「ダサい=地味」で有るのならば、
きっと、これをイメージされたのではないかとお察し致します。
アンティークデザインとの比較
如何でしょう?
現行モデルのコンビカラーよりも、金色と銀色が自然に溶け込んでおり、
トータルバランスが良いと思います。一目瞭然に華やかでスマートですね。
カラーにおけるヨーロッパとアメリカのマーケット比較
かなりザックリした解説ですがまとめると…
ヨーロッパ(主にスイス・メイド)にとってアメリカは圧倒的に巨大なマーケットになりました。
アメリカ編
20年代のアメリカのマーケットでは、シルバー・カラーが多くを占めておりました。
ちなみにレディースケースで純銀製はほとんど存在しておりません。
30年代に入るとイエロー・カラーが主流となり(とにかく金色が出てくる)それは金無垢や金
メッキでした。
レディースケースは小型で薄い為にコスト的にもだいぶ抑えられる傾向にあり、コストを抑えた
分、コンビカラーに加えてダイヤモンドウォッチが非常に多く製造されるようになりました。
特に30~40年代アメリカ向けのレディースケースはコンビカラーが多く、とにかく華やかです。
40年代終わりから50年になるとホワイトゴールド(シルバーではない銀色が)が主流となり
ます。
20~40年代全体的に突出してホワイトゴールドが多いのが特徴です。
ヨーロッパ編
一方、ヨーロッパでは依然としてゴールドが多い。完全なるコンサバですね。
プラチナケースはありますが、ホワイトゴールドはほとんどありません。
ましてやコンビカラーとなると極端に少ない。
ダイヤモンド・ウォッチも極一部のオーダーケースを除き、一般向けには存在しておりま
せん。その代わり金細工やブレスの連結などが大変凝っています。
価格帯ですが、現在では高い順にホワイト→コンビ→イエローとなりますが、
アンティークではコンビ → イエロー → ホワイトになります。
それでも昔の広告を見る限り価格帯に大差はありませんでした。
コンビカラーの行方
コンビカラーはその他にバイカラー(bi-color)やビコ(bico)などと呼んだりしています。
ダサさを回避する為なのか、カルティエでは敢えて「コンビカラー」の言い回しを避けてお
り、「バイカラー」と呼ぶように徹しております。
ル・ロックルのファクトリーを視察した時、週一でブティック各エリア・マネージャーを召集
(ヘリで来る)し、「今週は何が売れたのか?どのような要望が多かったのか?」などマーケ
ティングしていると伺いました。きっと「バイカラー」もマーケティングから起因しているの
でしょう。
私もこれにならい「バイカラー」と呼ぶようにしていたのですが、
「? 何ですか⁇」
となる流れが非常に多く、現在はカルティエとは逆に「コンビカラー」と呼ぶように徹して
おります。
電池交換ご要望のお客様の前で防水検査をした時、「防水NGの表示が出ております。
防水性が機能しておりませんので、今後は非防水時計としてお使いください。」とお伝えし
たところ「NGって何ですか?」と。
最初、真意がわからず、「いや、防水性は保たれていたはずだ。どうしてそうなったのか説
明しろ。」とご立腹なのかと思いきや、「NG」という言葉の意味へのご質問でした。
これ以来「防水機能がダメでした。」と言い回しを変えております。
当店はメーカーよりもお客様に寄り添ったお店でございます。お客様にとって解りやすい
言い回しや用語を使うよう努めております。
個人的に現行モデルのコンビカラーを見ると、どうしても86年のバブル期をイメージしてし
まいます。2021年からロレックスを含め各メーカーがリバイバルモデルを発売していること
もあり、オールド・スクール化を誘っているように感じております。
「コンビカラーか。なんだか80年代ぽくて良いね。」となれば良いですね。
オールド・スクールは、そのお国の歴史や文化、個々の感性によって異なりますので要注
意です。
日本の場合、ちょっとコンビニまで行かれる際、くれぐれもジャージ姿にクロックスを
履いて、ごっついデイトナのコンビカラーなど着用されないようお願い致します。
周りの方が不安になります。
ブログ「時計の革ベルトの選び方」でも触れておりますが、何百万円もする時計が
“ハズしアイテム”にならないようにご注意ください。