腕時計の裏の蓋のシールは何? - 時計修理なら横浜のABUNDANT TIMEにおまかせください
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腕時計の裏の蓋のシールは何?

ABUNDANT TIME 代表 壽藤

そもそも、このシールは何なのか…?

材料店さんによっては“保護シール”と銘打って販売されています。

では何から時計を保護するのでしょう。

腕時計を着用すると裏蓋は手首に密着しますので、何かにぶつかったり、擦れたりする

することはまず考えられません。

汗からケースを守るにしても、シールに汗が残って不衛生であり、不快感もあることで

しょう。よって、あえてココの部分を文字通りに“保護”する必要性はございません。

それでは何の役割のシールなのでしょうか?

蓋シールの本当の役割

修理店ではお客様から数多くの時計をお預かりします。

「オメガ、スピードマスター、トリプルカレンダー、ブラックダイヤル、ステンレス・スチール」

などは不動の定番人気モデルです。

30㎝も離れて見たら全く同じ時計がズラリ。

どうしてこんなにも同じ時計ばかりなのだろうかと…。

多い時には10本近くお預かりする日もございます。

オメガに限らず同じモデルのお預かりが増えますと、どの時計が修理済みの時計なのか? 

当然にして確認すれば解ることですが、パッと見では全く同じ時計に見えてしまう危険性

を孕んでいます。

修理店ではこうしたミスを避けるために「修理完了」の意味を示すシールとして貼付し、

販売店では「シッカリと管理された完成品」の意味を示すシールとして貼付しております。

よって、“裏蓋シール”はお店側の利便性を考えたシールであり、時計の保護や顧客満足度

を高める為のシールではございません。

「保護」なんて返って語弊を招きますよね。

その辺りの事情をちゃんと分かっている材料店さんは「保護シール」では無く、

「裏ブタシール」と銘打って販売されています。

もしかして、OHをご依頼されて戻って来た時計にこのシールを貼っていなかったら、

しっかりと管理されていない修理会社なんだなぁと。

そう感じられていたお客様もいらっしゃったかも知れません…。

裏ブタシール

「剥がさないでください」とのご要望

極めて稀に。

特にROLEXをご所有のお客様から

「絶対にシールを剥がさないで下さい」

とのご要望がございます。

「この傷には思い出があるのです。ケースの傷を取らないで下さい」

とご要望されるお客様はいらっしゃいます。

レディースのアンティークやヴィンテージを長年取り扱っておりますと、すっかり

「ケースは何十年も経過していても、新品のように傷ひとつ無い時計がBEST」

という考え方になっておりました。

なるほど。

時計ケースのキズには、お客様の様々な想い出が刻まれているのかぁ。

と、何となくですが解ります。

シールはちょっとわかりませんでしたが、

きっとシールにも何かしらの思い入れがあるのだとお察し致します。

(今回、お預かりしたROLEXの裏蓋シールは全体の1/3が無い状態でした。)

しかしながら、そうした場合、裏蓋を超音波洗浄機に入れること無く、

内側をベンジンやアルコールでサラッと拭うだけになってしまいます。

当然シールも劣化しますので、剥がさなかったシールはどんどん劣化して参ります。

劣化シールをそのまま貼り付けたままの着用感は決して良く無く、そして何より

衛生的ではございません。

お渡しの際には、お客様に怒られる覚悟を承知で、

「可能であれば剥がされることをお勧めします」と重ねてお伝えしております。

裏蓋シールは剥がしましょう!

before
after

写真はヘア・ラインが施された金無垢ケースにシールが貼付されておりました。

定期的にOHされていたようですが裏蓋シールが2重に貼付。長年、ご着用されて

いて随分と違和感があったのではないかと察します。

折角の金無垢ケースなのに本当に勿体無いと感じました。

当店ではアンティークやヴィンテージ時計の取り扱いが多く、ほとんどの時計が

金無垢ケースになります。折角の金無垢ケースなのに、裏蓋シールを貼ってしまうと

肌触りの良さが感じられなくなってしまいます。

こうした事由から、あえて金無垢ケースには販売品・修理完了品には貼付しておりません。

シールは当店でもご用意しておりますが、裏蓋の仕様によって貼る場合と貼らない

場合がございます。

特にヘア・ラインの処理がされているケースの場合、シールの粘着剤にゴミや皮脂が

ヘア・ラインの凹凸に非常に溜まりやすくなります。

裏蓋シールを貼ったままの状態は、たとえステンレス素材のケースでも腐食が発生し

てしまいます。

特別な思い入れがない場合、お時計のご確認後は裏蓋シールを剥がし、

シールが無い状態でのご着用をオススメ致します。

余談ではございますが、某材料店さんから

「裏蓋シールが貼ってあると特別感があるとおっしゃるお客様もいらっしゃいます。」

とのことを伺いました。

私はこの話を聞いて大変驚いたのですが…この特別感。

如何でしょう。

私にはわからないのですが皆様は共感されますか?

当店もオリジナル・裏蓋シールを検討すべきなのでしょうか⁇

ABUNDANT TIME 代表 壽藤